イオンエンジンとジェットエンジン

はやぶさの話を聞いたときに少し引っかかった点を。

はやぶさのエンジンはイオンエンジンという種類のエンジンらしい。
・・はて?なんだろうかそれは。


普通、エンジンと聞くと、燃料を気化させて点火したときの膨張の力でピストンを動かす、車などに使われているものをイメージするだろうけれど、今空を飛んでいるタイプのものはそれとは違う。この場合エンジンが動かすのはピストン、つまり車体そのものだ。

空を飛ぶタイプの普通のエンジン、ジェット(ロケット)エンジン(飛行機など)は、空気を前から取り込んで、それを燃料を燃やしたときに出る熱によって膨張させ(加速させ)、後方に押し出す。
その時後方へと逃げていく運動量と等量の運動量の分だけ車体を加速することができる。このとき気体がイオン化しているかどうかは関係ない。
こちらの場合、エンジンが加速するのは空気であって機体ではない。


つまり、これら二つは、機構の発想がまるで違う。
前者は燃料のエネルギーをそのまま仕事に変換することによって加速に使っていて、運動量の大きなやり取りはない。
しかし後者はむしろ燃料のエネルギーは、気体の運動量を大きくするために使われている。つまり、車体に直接力を働かせていない。
というと少し語弊があるかも知れないけれど、燃料と機体がエネルギーと仕事をやり取りしているのか、それとも運動量をやり取りしているのか、が違う。
物理学者にいわせれば、というか両辺に速度を掛ければ分かるように、物理的には同じことだ、と言うかも知れないが、しかし、これを発明するという視点に立てば、ここに大きな発想の転換が合ったことには疑いの余地がない。

なぜならば、初期の飛行機、つまりプロペラ機は前者のいわゆる普通のエンジンによってプロペラを回して空気を掻き分けて空を飛んでいたのだから。

僕はこういう発想の転換、あるいは発想の転換が存在したという事実を発見することが好きだ。


さて、本題に戻ろうかな。
イオンエンジンとはなんだろう。

宇宙では先ほどのジェットエンジンのように、前方から空気を取り込むことができない。
だから、自分に積んであるものを後ろに飛ばして運動量の保存で前に進むしかないんだけれど、何をどうやって加速するかが問題になる。
今回の場合、何を、という点についてはすでに答えが用意されている。

イオンなんだろう。

じゃあ、後は加速する動力だけれど、イオンを加速するなら電磁気力。
なるほど、では多分、電極で加速したイオンを後ろに飛ばして、その運動量を駆動力にするのか。
と思って調べるとその通りだった。

ちょっと拍子抜けしたけれど、実は奥が深くて面白かった。

ジェット(ロケット)(こういう風に併記していいのかどうかも自信がなくなった)エンジンには他にもいろいろある。
燃料を化学反応させて熱膨張させて後ろに噴出させるタイプもあった。
だから、イオンとわざわざ明記してあったわけか。
ふむん。

ところで、このイオンエンジン、燃料(とはもはや呼べないが)はアルゴンとかキセノンとか希ガスなんだけれど、なぜかこれらがプラズマ化しやすいという記述を見かける。・・なぜ?
多分、安定な元素の中では、という条件が頭に付くような気がするのだけれど。

参考URL
http://spaceinfo.jaxa.jp/hayabusa/about/principle1.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

はやぶさの\mu 10エンジンのページで運動量保存がデカルトの発見と書いてあった。
そうなんだ。・・本当かな?