小話

植木屋に、客がやってきた。
客はしばらく空の植木鉢を眺めたあと、ひとつを指さして尋ねる。
「なぁ、この植木鉢、メは出るんかいね?」
受けて答えるは店の主人。
「はぁ、メ、ですか、そりゃぁもちろん、ぱっちりとしたいいメが出ると思いますよ。」
「そか。ほな、ハァはどないや?」
「へ、ハ、ですか?えぇまあ、そりゃ瑞々しい立派なハが付くと思います。」
「ほぅ。そしたらな、ハナはどないやねん。」
「ハナも、もちろんそりゃ大きなハナが見れると思いますよ。」
「おお、そうかそうか、そしたら、それカオか」

掴みどころ

先日、HOME | 日本一の鰻・京極かねよに行って寄席を観てきた。
2年ぶりくらいかと思う。
上方落語っぽい、語りで押してくる話が1時間半に渡って聞けた。
押しの話は演者の表情や仕草が大きなウエイトを占めるので、CDなんかではあんまり楽しめない。
その分、今回は見に来てよかった。

上の話は、たぶん前座さんが話を忘れて自分を落ち着けるために話した小話。
オチがだんだん透けてくるのが面白い。