確率の話1「確率」
導入
アシュリーさんのところで箱のパラドックス(モンティ・ホール・パラドックス)についての記事を読んだ。せっかくの機会なので僕の考えをまとめておこうと思う。
僕には確率とか期待値がどうにもしっくりこないときがあった。
曖昧なものについて具体的な値を求めるという行為自体が、本当に正しいのかと疑っていたのだ。
今ではその疑問もたまにしか浮かび上がってこないけれど、それでも確かに僕の中で燻っている。
モンティ・ホール・パラドックス
はじめ、箱が3つ用意されている。
その内1つには賞金ないし賞品が用意されている。
今出題者が挑戦者に対し、箱を1つ選ぶように指示する。
挑戦者は1つを選ぶ。
と、ここで出題者は選ばれなかった2つ(少なくとも一方は外れ)の内、外れの箱を1つ開け、外れだと挑戦者に教える。
そして、今一度箱を変えることを挑戦者に許す。
挑戦者は箱を変えたほうが得だろうか?
パラドックスの答え
結局、挑戦者は2つの箱の内から1つの箱を選ぶことになった。
「この内1つが当たりであり、他方は外れなのだから、確率は$\frac{1}{2}$、どちらを選ぼうが同じではないか。」
と考える人もいるだろう。
だがそれは、一度選んだ後に情報が付加されたことを全く無視しているのだ。
始めの段で選んだ箱が当たりである確率は1/3であり、他方、残った2つの内どちらかが当たりである確率は2/3であることは疑うべくもない。
パラドックスではここで、出題者によって残った2つの内1つが外れだということが明らかにされる。
さて今、挑戦者によって選ばれず、出題者によっても開けられなかった箱が当たりである確率はどうなるだろうか?
2/3である。
これと先の1/3を比べれば、答えはすぐに分かる。
変えたほうが得。
パラドックスの解消
というわけで、このパラドックスは現在解決されているし、この解答に僕は何ら異論はない。
納得できない人は、簡単に考えることもできる。
コイン・トス
普通コインの裏表は平等に出ると考えられている。
僕はそう思わないけれど、それは今回は忘れよう。
つまり、裏表は平等に出るわけだ。
それぞれの確率はもちろん、1/2。
では、2回連続で表が出る確率は?
もちろん1/4だ。
この実験を、上のパラドックスに沿うように工夫しよう。
まず一度試行する。すると表が出た。(とする。裏でもいいけど)
さて、ここで考える。
次に表が出る確率はいくらだろうか?(一回目が裏のときは裏)
もちろん、1/2に違いない。
違いないのだが、これは先ほどの1/4と異なっている。
この違いはどこから来たのだろうか?
すぐにわかるだろうと思うれど、先のケースにおいて始めの条件がクリアされたという情報を考慮した結果が、この違いをもたらしたのだ。
このように情報が付加された場合、それを無視した確率を計算することは間違いとなる。
結局上のパラドックスでの本質は、情報を考慮したか否かであることだったのだ。
まとめ
この話は始め不思議さを、後に確率の面白さと明快さを教えてくれるいい問題だが、僕自身はここで確率を考えることの危うさを感じたわけではない。
ないが、数学の理論体系の中で、確率(期待値)だけは、すんなりと僕と馴染んではくれなかった。その不思議さを欠片でも感じて貰えればと思って書いた。
確率に関する理論が間違っていると言いたいわけではないけれど、それでもやはり、本当に正しいのかと考えるときはある。
次は封筒の問題にチャレンジしようと思う。
そこでは期待値の不思議さが現れることになる。