天気予報は秋の空

F君の母校の天文部同窓会にお邪魔
でっかい望遠鏡を覗かせてもらえるということになった
先生が宇宙な話を聞きたいというのと僕のどす黒い欲望がマッチした幸運
そしてもちろん、rockのおかげ
ありがとう

その日の天気予報は’曇りのち雨のち雪やがて曇り’
信号無視直後のパトランプみたいに絶望感の立ち込めるオールレッド
土星は観えるだろうか

1日17時
電車に揺られ、岸和田に向かう
天気は崩れておらず、夕日が綺麗だ
虹の根元で、なんとか見れるのではないだろうかという期待を抱いた

19時
ねぃさんと3人で高校に到着
まだ晴れ間の方が大きい
すぐ天文台へと向かう
ど、どーむだ・・・
天文部な人たちがわらわらと月を観ている
覗かせてもらう
わぉでかい
反射だけじゃなく、屈折でも

20時
空一面の雲
一度夕食を食べに出る

21時
高校に戻る
雲と雨
諦めて帰るか留まるかで逡巡
山となって耐えることを選ぶ

23時
先生と少し話をして、ふと空を見ると、晴れ間
F君と飛ぶように"歩き"、ドームで月を観る
土星は雲の向こう
ねぃさんはoff-line

F君は寝おち
僕らは耐えている

赤道儀の使い方を知っている部員はいないようで
僕らはその扱い方について話した
ふむん
なんとなく理解
でも望遠鏡の目盛が可動
え・・?いいの?
赤経はマスタ

翌3時
ふと空を見る
晴れている(若干の測定誤差あり
観測へ

土星の座標へ合わせようとするも、助っ人として迎えた元部員・辻さんからストップ
ウェートを望遠鏡よりも上げてはいけない
赤道儀座標をあっさり諦めて目測で土星に合わせる

曇ったり、晴れたりを繰り返す僕と土星の間
月は沈み
風は冷たく
ねぃさんが焦点を繰り返し繰り返し巻いていた

突然
観えた
という声
僕の意識は浮上する
浮足立つ僕
独占態勢のねぃさん
ねぃさんの周りを廻る僕
観えた観えたと繰り返すねぃさん
・・・そして、空一面の雲

ねぃさんが謝り
僕がいいよいいよと繰り返す
賢者の時間

ずっと向こうに晴れ間が見える
あのチャンス
逃せない

4時
今度は僕が焦点を回す

あ・・あった

黙って、少し、泣いたあと
「観えた」
という
あの瞬間。

赤道儀座標はぴったり土星を指していた