ぎりぎりということばでごまかすことのできないところの何か

13日、ぎりぎり関わっていた機械研に追い出された。
放っておかれても不思議じゃないのに、と申し訳なく思いながらも、同期・先輩・後輩とじんわりと話ができたのを皮切りに、積極的に絡んできてくれた後輩に暖かいものを感じ、ほとんど僕を知らないであろう後輩がよくぞまあと感心するほどの小さな思い出を寄せ書いてくれたり、先輩がありがたいお言葉を授けてくれたりで、思わずこみあげるものがあった。
や、冷めた目で見れば、僕もたぶんそんくらい書いたし言えるような気がするけれど、そんなことはどうでもいいと思えるくらいに、いい会/サークルでした。ありがとうございました。
風邪でさえなければカラオケにも行きたかった。

さて、ぎりぎり間に合うと思っていた奨学金の提出書類の必着は15日だった。
14日に速達で出せばいいやと思い、19時過ぎに郵便局に。
「明日には着きませんよ。明後日になりますね。どうしてもと言うなら、直接の配達局に14時までに出せば間に合いますよ?」と言われ、住所の「中央区銀座貿易ビル」を見て、東京に直接持っていくことに決めた。こういうところが理屈にあわないんだよなぁ。
もともと箱根に陶芸部のメンツで慰安の予定だったので、これ幸いと意気揚揚。
24時前に部室を発ち、5時間かけて箱根まで。
電車に乗継ぎ3時間弱掛けて8時前に中央区郵便局に。

東京は人間以外がめちゃ大きいね。歩道の広さに感動した。

9時に開くとのことだったので、1時間ネカフェで未だ完成しないKEKでの卒論発表会用のレジュメを1から作成。これはひどい
郵便局に行くと、「ここじゃ間に合わない。銀座の局に行きなさい」とタライ回される。や、そうだよね。

銀座まで動く。
10時前に銀座通り郵便局前に。
「休日はお取り扱いしていません」の張り紙。
・・うん。これは直撃ですね。
隣のビルにあることは確認済み。や、さっき直接行ったんだけれどね。

    • 以下回想

ビルの案内に8Fだと書いてあるので正面エレベータに乗り込み8Fを押す。
ふと見上げれば、そこの案内では8Fは展覧会の会場で、RFというのが目的地らしい。
あれ?と思いつつもRを押すが、予想通り、光らない。
少なくともエレベータでは行けないんだね。
8Fで展覧会の受け付けのお姉さんに、上にはいけないんですかと尋ねたところ、そうなんですよの一点張り。

    • 回想終わり

で、郵便局に。ということだった。

さて、次の作戦は、警備員室だ。
ロビーから少し離れた冷たい感じの「関係者以外お断り」扉を開くと、そこは表と打って変わってコンクリートむき出し、饐えた臭いの少しする裏の空間。
警備員さんに要件を伝えると、「ではこちらのエレベータから行ってみてください。休日ですが一人来ているようですので」と教えてくれた。すごく知的な風貌が印象に残っている。断じて親切にしてもらったフィルタが掛っているわけではない。

さて、エレベータに入れば、表示は8Fまで。
ん?と思いながらもとりあえず8F・・
ここのエレベータは海外の映画で聞くような音がする。チーン

左手にも細い通路があったが、正面奥まったところに、身体測定の時の恥ずかしさガーダーで壁を作ったような事務所があるのがすぐ目についた。
広くもなく、防音効果さえ期待できそうにないこの場所に、僕の学生生活が支えられていたと思うと、畏怖ともいえる不思議な感情で僕の心は満たされた。
社長室のソファーがおぼろげに見える。

そのさらに奥に、事務所があった。
ノックする。
当然のように誰もいない。驚かない。
5分しても誰もいない。
引き返そう。

と、エレベータの前で女性と出会う。
「どこかでお会いしたことはありませんか?どうでしょう。このあとお茶でも。」
と思わず声をかけそうになるほど人恋しい場面だったけれど、ぐっとこらえて要件を話すと、「それは私のことですね。でも私は別の事務所なんですよ。」とのこと。
しかし続けて、「今日はこちらの方は来られないと思うので、明日渡しておきましょうか?」と言ってくれた。
僕はかつてこのときほど、嬉しいという感情の不確かさを感じたことはない。
が、それはまた別の話で、謹んでお願い申し上げた。

結局、僕は目的を達成できたのだろうか?
それは誰の目にも明らかだろうが、そんなことはどうでもいいといえるくらい、楽しい経験をした。と言い張る権利くらいは主張してもいいはずだ。とワタシはワタシは精一杯声を大きくして
訴えます。


エピローグ

エレベータを待つ間、ふと右を見ると、通路の先にあの展覧会の会場が。
この日一番の驚きは、彼女が受付のお姉さんだったことです。